柔らかな樹皮を傷つけ樹脂を得ることから始まるベンゾイン精油
インドネシアやタイなどに生息する南国の植物のベンゾイン。開花すると枝一面に小さな白い花を咲かせます。柔らかな樹皮を持ち、樹皮に傷をつけると強い香りを放つ粘性の樹脂が流れ出てきます。この樹脂を乾燥させ有機溶剤を用いて抽出したものがベンゾインの精油です。
植物そのままの香りが再現される溶剤抽出
精油の抽出には、水蒸気蒸留法、圧搾法の他に溶剤抽出法があります。
主にローズやジャスミンなどの花から得られる精油やベンゾインやフランキンセンス、ミルラなど樹脂から得られる精油の抽出法として用いられます。熱を使う水蒸気蒸留抽出に比べ、植物そのままの香りを再現できることが溶剤抽出の魅力です。しかし、製造の過程で溶剤などの物質が完全には除去できていない可能性も考えられることから、肌などへの使用は水蒸気蒸留の精油が推奨され、芳香浴などに溶剤抽出の精油が用いられるのが主流です。溶剤抽出の精油が絶対に肌への使用が禁忌なわけではなく信頼のおける生産者がきちんとした工程で進められた精油であればその限りではありません。
溶剤抽出とは何?
溶剤抽出の工程は、
1 アセトンや石油エーテル、ヘキサンなどの溶剤と原料植物を密閉釜にいれ、植物の芳香成分を溶かしたあと、溶剤を揮発させます。
2 溶剤を揮発させると固形のコンクリートと呼ばれる物質が残ります。
3 このコンクリートをエタノールで溶かしエタノールに香りを移します。
4 再びエタノールを揮発させることで精油を得ることができます。
この溶剤を用いた方法で得られた精油はアブソリュートと呼ばれます。(ベンゾインのような樹脂を原料とした溶剤抽出された精油はレジノイドと呼ばれる事があります。)
安らかな呼吸へと導く香り安息香
お菓子を思い浮かべるようなベンゾインの甘い香りは香りを嗅ぐだけで幸せな気持ちになります。和名である安息香という名前からも呼吸を安らかにする香りとなりベンゾインの特性を象徴しています。ストレスなどで浅くなりがちな呼吸を深い呼吸へと導く事で気持ちを落ち着け鎮静へと誘います。
呼吸器系のトラブルにも
呼吸を深めてくれるベンゾインは、呼吸器系のトラブルにも有用です。風邪の季節には、ユーカリやティートリーなどの精油とブレンドした芳香浴がおススメです。
乾燥でひび割れた肌を優しく包み込む
傷を癒す作用があることから、あかぎれやひびわれなど傷を負った肌に優しく働きかけてくれます。ここでは、この季節肌荒れが進む手の乾燥を防ぐベンゾインハンドクリームをご紹介します。
香りの絆創膏 ベンゾインとローズのハンドバーム
甘いベンゾインの香りと気品あるローズの香りはベストマッチします。ローズオットーの精油を使うととてもコストがかさんでしまうのでここでは手軽に利用できるシアバームフランキンセンス&ローズを使ったレシピをご紹介します。スキンケアの精油として名高いフランキンセンスもブレンドされているのでスペシャルなハンドケアが実現できる一品となります。
Let’s try❕
【用意するもの】
シアバームフランキンセンス&ローズ20g
ホホバオイル5ml
ベンゾイン精油 5滴
【作り方】
1 耐熱性の容器にシアバターとホホバオイルを入れる。
2 人肌程度の湯煎にかけて溶かす。
3 ベンゾイン精油を加えてよく混ぜる。
4 蓋つきの容器に詰め冷まして固める。
ベンゾインの甘い香りで整える心と肌の癒しケアをお試しください。