エキゾチックな甘い陶酔の中に誘ってくれるイランイラン
フィリピン、インドネシアなどの東南アジアからマダガスカルやセイシェルまで広く分布する熱帯樹林のイランイラン。樹高が10m以上にも及び1年中美しい黄色い花を咲かせますが、5月から6月にかけての早朝に摘んだ花が精油に使われます。6枚の花弁を持ちますが生育地域によって花弁の厚さなどに違いがみられます。下記にあるのはタイのイランイランの花の画像です。
イランイランの甘い陶酔を誘うエキゾチックな香りはシャネルなど有名ブランドの香水の原材料としても使われています。
蒸留時間でグレードが変わる
花を水蒸気蒸留することで得られるイランイランの精油は、抽出する時間によってグレードが変わります。主に下記の5種類のグレードに分けられます。
・イランイランエクストラ
オリーブオイルでいうとエクストラバージンと同じ位置づけとなる一番最初に抽出されるグレード。蒸留後1~2時間で抽出される精油は、花の精油特有の強い鎮静作用を持つリナロールやエステル類を豊富に含み華やかなフローラルの香りが特徴で価格も高価なものになります。皮膚刺激が少ない為スキンケアには最適のグレードとされます。
・イランイラン1st
エクストラの抽出後に、2~3時間の再蒸留を施して採れるグレード。エクストラよりも若干香りが弱くなりますが、十分にイランイランの上質な香りを味わえます。エステル類の含有量もエクストラとほぼ変わらないので同等の使い方が可能です。
・イランイラン2nd
1stグレード抽出後に6時間程度かけて抽出されるグレード。エクストラ、1stに比べると香りが穏やかになります。芳香成分もエステル類が少なくなり抗炎症作用のあるセスキテルペン炭化水素類が多くなります。しかし、イランイラン特有の強い香りが得意でない人には扱いやすくなり、このくらいの穏やかな香りの方が好きだという人は多いです。
・イランイラン3rd
一番最後に抽出されるグレードです。3rdに近づくほどセスキテルペン炭化水素類の成分が多くなります。リナロールやエステル類の成分が少なくなるので鎮静作用や特有の甘い花の香りも弱くなり花らしい香りよりもスパイシーな香りが際立ってきます。用途は、メンタルやスキンケア目的よりも、呼吸器系や炎症性のものといったヘルスケアにおススメです。
・イランイランコンプリート
エクストラ、1st、2nd、3rdグレードのイランイランをバランスよくブレンドしたものがコンプリートです。流通しているイランイランの中で一番多く出回っています。それぞれのグレードの良い点が引き出されていて、私はこのイランイランが好みですが、メドウズのイランイランもこのグレードになります。
しかしブランドによってグレード別の配合にばらつきがあるので注意しましょう。
不安な気持ちを鎮めて幸せな気持ちへと導いてくれる
強い鎮静作用を持つイランイランは、ストレスの負荷などで起こる不安な気持ちや怒り、パニック、イライラといったマイナスの感情を鎮めて、安心感やリラックスを呼び戻してくれます。心を落ち着かせながら高揚感ももたらせるので楽しさや多幸感を与え笑顔を思い出させてくれます。
男性が最も女性らしさを感じる香り
フローラルな香りのイランイランですが、その濃厚な香りが苦手な女性は多く、逆に男性には最も女性らしさを感じる香りとして支持される傾向があるようです。ジャスミンを濃厚にしたような芳香は、かつて“貧乏人のジャスミン”と呼ばれジャスミンの偽和剤とされていた時期もあるようですが、今ではハイブランドの香水にも使われるほど重要な精油の一種です。
海外リゾートにいるような解放感を与えてくれる香り
南国のリゾートに行くといつもよりも大胆になるように、異国情緒漂うエキゾチックなイランイランの香りは、非日常のムードに浸りバカンス中のような現実逃避をかなえてくれます。これを利用した脳内バカンスを叶える香りをご紹介しましょう。
Let’s try❕
気持ちだけでもリゾート気分に浸れるルームスプレー
【レシピ】
・ウォッカ(40度以上)5ml
・水40ml
・イランイラン精油10滴
・ベルガモット精油8滴
【作り方】
1 30mlのスプレー容器にウォッカを5ml入れます。
2 イランイランとベルガモットの精油を加えてよく振って混ぜ合わせます。
3 水を40ml加え、蓋をしてよく混ぜ合わせます。
*精油は、水に溶けないのでスプレーを作る時は、アルコールで希釈をする必要があります。無水アルコールや消毒用アルコールが手に入らない時は、ウォッカで代用することができます。
濃厚な香りのイランイランは柑橘系の香りをプラスすると格段に親近感のある香りになります。リゾート気分に浸れる香りで気軽にリフレッシュ。忙しい毎日にひと時の安らぎを覚えることも大切ですね。